雨の日の雀荘
雨の日
今週のお題「雨の日の楽しみ方」とあるが、雨、麻雀と言えば、連想されるのはやはりアカギではないだろうか。借金が返せず、最後の賭けとしてヤクザと麻雀を打つ南郷。流れは最悪、とても勝てそうにない絶望の状況に突如現れるずぶ濡れの中学生アカギ。
予期せぬ来訪者に一同は困惑、南郷はこれ幸いと勝負を中断させる。怯えた打牌をしようとする南郷に対し、「死ねば助かるのに......」とつぶやくアカギ。
その通りだ、どうせ死ぬならと一転攻めの打牌、はたして敵の当たり牌をかいくぐり見事にアガりぬける。南郷はこの見知らぬ中学生に「何か」を感じ、代打ちを頼む。これがアカギの人生初めての麻雀だった......。
なんとも粋な登場である。この場面を潜り抜けたあとも、盲目のおじいちゃんをボコボコにしたり、腕を賭けて勝負したがったり、六半荘に20年くらいかけたりとなかなか波瀾万丈な人生を送る。
アカギにあこがれ、白をツモったら「きたぜぬるりと......」などと真似した人も多いのではないだろうか。
天 天和通りの快男児
さて本来、「アカギ 〜闇に降り立った天才〜」は、「天 天和通りの快男児」のスピンオフとして描かれたものであったが、天よりもアカギの人気があまりに大きく、 本家を喰ってしまう形となった。
自分も例にもれずアカギ→天と読んでいったのだが、この二作を読むと関連した事柄が多々あり、興味深い。
例えば、すり替えによるイカサマのシーンだ。「アカギ」では、警官が雀荘に入り、皆の注目がそちらに注がれている間にアカギは手牌をすり替え、「大三元四暗刻単騎」をアガってみせる。「天」では、ヤクザの親分がイカサマをした奴に刃物で切り付ける場面があるが、その騒動の間に老アカギは「大三元四暗刻字一色」を完成させる。
どちらのシーンも、皆が注目せざるを得ないような事件が起こっている中、平然と牌のすり替えを行うアカギの化け物じみた平常心とクソ度胸がうかがえる。
私事
やはり自分も、アカギにあこがれて麻雀を打つ一人である。残念ながら雀荘デビューは雨の日とはならなかったが、雨が降るとなんとなく打ちに行きたくなる。オーラスで残り百点、対面からリーチがかかり安牌がない......そんな時、突然ずぶ濡れの中学生が入店してくるようなことが人生で起こるよう願いたい。
画像......「アカギ 〜闇に降り立った天才〜 」第一巻 福本伸行 竹書房