大学生麻雀雑記

麻雀好きな大学生が色々と書いていきます

故意のチョンボは戦術として成立するか?

 

休暇

 9月も気づけば半ばに差し掛かろうとしている。中高生ならばとっくに夏季休暇は終わっているだろうが、大学生のそれは長い。自分の通う大学の夏休みは全国でも特に長く、10月の始めまで食い込む。しかしもう3回生、来年からは3年間の研究室生活が待っている。夏休みなどあってないようなものだ。ゆえに今の残された大事な休暇を、限りなく怠惰に過ごすのである。

 そういえばtwitterのフォロワー数がこの間1000人を超えた。大変ありがたいことである。フォロワーやブログの読者に感謝しつつ、有益かどうかわからないような文章を書き続けようと思う。

わざとのチョンボ

 さて先日、麻雀ギャグマンガの金字塔「ムダヅモ無き改革」を読んでいた時のことである。第8巻、鳩〇由紀夫元総理をパロディー化した敵が現れ、杉〇太蔵元議員(タイゾー)率いる自衛隊の精鋭がこれを打ち破るという、文章では何が何やらわからないストーリーである。

 

 闘牌開始の東一局、鳩〇は突然牌をつかみ、タイゾーの顔面へ叩きつける!狂ったか?と訝る一同を尻目に、罰符を払い再び東一局が始まる。そこでなんと、本作では弱小キャラ扱いされているタイゾーが大三元聴牌f:id:mjplayer:20190910163556j:image

  これは勝てる!と自衛隊サイドは沸く。だが不穏な空気が立ち込める。これに対する鳩〇の反撃とは.....

 

 

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 ちゃぶ台返し(イッテツバスター)、すなわちわざとのチョンボである。これによりタイゾーの大三元は消滅し、鳩〇はただ満貫を払うのみとなった。

 そんなアホなと笑いながら読んでいたのだが、「あれ、これって現実でもできてしまうのでは」と思い付いた。(画像はすべて大和田秀樹著「ムダヅモ無き改革8巻」竹書房より)

チョンボに対する規定

 プロのチョンボに対する規定を確認してみよう。日本プロ麻雀連盟では、「チョンボした者は、終了後に成績から20ポイント減点する。」とある。(http://archive.ma-jan.or.jp/guide/game_rule.php#06

 また、日本プロ麻雀協会では「チョンボ者は、順位確定後40P減点。同卓者の得点にはならない。」とある。(http://npm2001.com/ru-ru.html

 このように、「チョンボをすれば終了時にマイナス〇ポイント」というのが一般的なようだ。しかし気になったことが一つだけあった。それは「故意のチョンボ」に対しての処置が定められていなかったことだ。すなわち、故意に誤ロン倒牌をしたり山を崩したりしても、過失によるチョンボと同じ扱いを受けることになる。

 チョンボをした方が得になる場合

  ではどのような時、わざとのチョンボが「チョンボ者にとって得」となりうるだろうか。チョンボは満貫払いという世間一般のルールで考えてみる。

 例えば、相手が3鳴きで大三元聴牌をしているのが見えているとしよう。安牌だろうと思い切った牌にロンの声、子でも32000点である。この時、相手が倒牌する前にその手牌を崩してしまうとどうだろうか?続行不可能なので当然チョンボ、しかし払う罰則点は満貫分である。

 他にも、自分が裸単騎の1p待ちだとする。相手が1-4p待ちでオープンリーチを仕掛けてきた。自分のツモ番、引いてきた牌は無常にも4p、どう転んでも役満の振込みである。この時、山を修復不可能なまでに崩してしまえばどうだろうか?(スーパーヅガンで見た光景)さきほどと同じく、役満振り込みがただの満貫支払いとなる。

 そして、「故意の」チョンボに対する追加罰則を決めていない場合は、以上の行為を満貫支払い以上で罰することができない。そうすると、(レアケースではあるが)チョンボのし得になる。

 

「わざチョン」の論点

 しかし、この戦法は実行していいものなのだろうか?ルールに明記されていないとは言え、故意にゲームを中断させるのは汚いような気がする。そこで、自分のtwitterアカウントを使って簡単なアンケートをしてみた。

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  投票数204で、故意のチョンボを是とする人は2割程度であった。一般的には故意のチョンボを許さない傾向があると言える。コメントなども色々頂いたが、論点となるのは「ルールの不備」と「倫理的な問題」である。

ルールの不備

 麻雀などのゲームは、規定されたルールによって進行する。そして、ルールに明記されていない行動は特に制限されない。したがって上記の「わざチョン」は認められる。この論法は一見問題ないように見える。

 しかし、例えば相手をぶん殴って「俺の待ちは3-6萬だ!さっさと出せ!」と凄んだとしよう。極論ではあるが、この行動を縛るルールが明記されていない以上この行為は問題でない、とする人はさすがにいないであろう。

 対照的に、「対局中に呼吸してもよい」とはおそらくどのルールにも明記されていないが、これを否とする人も同様にいないだろう。

 2つの極例を出したが、言いたいことは「ルールに明記されていないが、是非を分けるラインがある」ということである。そしてそのラインは、人によって異なるのだが、倫理感によって定められる。

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どこかに中間ラインがあり、人により異なる

倫理的な個人的規定

 そして、この倫理観が曲者なのである。何より、個人によって全く異なる倫理観を持ちうるからだ。少し調べてみたところ、ゴルフのプロの試合でこんなことがあった。全米オープンで、フィル・ミケルソンという選手が

グリーン上で自分がパットをしたボールが、グリーンから外に出てしまいそうになったため、回りこんでその動いているボールを打ち返してしまいました。

ゴルフでは動いているボールを打ってはいけないというルールがあり、打った場合には2打罰が課せられることになっています。

同選手はそれを分かっていて、2打罰のほうがマシだと考えて故意的にルール違反をしたわけです。(https://www.shiono-zei-blog.com/rule-manner-hospitality/より)

  競技は違えど、その道のプロが故意にルール違反を犯したのだ。この行為に対し、「とんでもない行為だ」と憤慨する声もあった一方、「2打罰が課されているのだから問題ない」と行為を認容する意見もあった。プロの中ですら賛否両論であったそうだ。

総評

 個人的にはやはり故意のチョンボはよいとは言えない。認めてしまえば、麻雀というゲームの最高打点が満貫ということになりかねないからだ。しかしながら、先述した通りこの意見は個人的な「ライン」に基づくものであり、絶対的正しさを持つものではない。故にチョンボが戦術として成立するかと問われれば、「成立する」としか、現行のルールでは答えようがない。

 だが、最高打点が満貫となりうる可能性は否定できず、ゲームシステムが崩壊する危険性を孕む戦術である。わざとのチョンボが許される環境というのは排除したい。故に、2つのルールを提案する。

 一つは、チョンボそのものに重い罰則を科すというものだ。これはプロ団体が採用しているもので、日本プロ麻雀協会などは40ポイントの罰則、32000点よりも重い。実質の役満払いである。(ここら辺の厳しさは、故意のチョンボ対策というよりかは、プロであるがゆえに当然のものだと思う。)つまり、チョンボに対する罰則が一般的に弱いために、「チョンボし得」的状況が発生しうるのだ。

 もう一つは、「故意のチョンボ」に対する罰則を設けることだ。これは友人間でよく設定される。例えば、「わざとチョンボをしたら役満払い」というのは結構あるのではなかろうか。素人が打つ際に、誤ロン倒牌をすれば役満罰則というのはあまりに厳しすぎるため、過失のチョンボと故意のチョンボに線を引くのだ。

 この2つのルールもしくはもっと頭の良い方法が上手く一般的なルールとして定着すれば、わざとチョンボをする者はいなくなるはずだ。

 長くなったが、正直なところ特になる場面であってもチョンボをするのはリスクが大きすぎる。雀荘なら出禁必死であろうし、友人からは二度と誘われないだろう。仲を深められることも麻雀の良い側面であるのに1勝のために友人を失うのは勝負事にストイックすぎる。

mjplayer.hatenablog.com

行儀よくすることを求められるプロならば言語道断、謹慎処分果ては除名処分までありうる。「ちゃぶ台返し」は禁止されていないが、やはり相当の覚悟が必要となるのである。