日本と何が違う?外国の麻雀について
降雨
つい数日前まで猛暑に呻いていたが、続く雨のおかげか気温がかなり下がった。今週のお題は「残暑を乗り切る」とある。このまま雨が定期的に降ってくれれば、乗り超えるべき残暑が消え失せて楽なのだが......。
外国の麻雀
自分の好きな漫画の一つに「むこうぶち」がある。「むこうぶち」とは麻雀好きならほぼ100%知っている麻雀漫画で、「傀」と呼ばれる文字通りの人鬼が、バブル期の欲の皮の突っ張った人間達を高レート麻雀で破滅させてゆく、オムニバス形式をとるものだ。その中に、「台湾麻雀編」のようなものがある。
その中で描かれる闘牌は、日本のものとはかなり異なる。まず手牌が16枚、和了時は17枚。そしてフリテンが存在しない。めいめい捨牌は適当に台の中心に置くだけだ。
このような日本と違うルールを持った外国の麻雀について興味がわいたので、少し調べてみた。
麻雀の歴史
日本と異なるルール......と書いたが、そもそも麻雀は中国や台湾が発祥では?と思ったので、日本の麻雀の歴史についても少々ひも解いてみる。
所説あるものの、麻雀の原型は19世紀後半の中国で成立したと考えられている。歴史は長く見積もっても200年程度であり、意外と最近だ。中国の鎖国解消により麻雀は世界に広まった。日本には20世紀の初頭に伝えられ、昭和初期には一台ブームとなるが、その後の戦争により敵国遊戯としての麻雀は一時影をひそめる。
終戦後、アメリカにも伝わっていた麻雀が進駐軍により再輸入される。この時、ルールは大幅に変わっており、リーチなどの新たに考案された役が追加されるなどした。
簡単に言えば、中国から麻雀を輸入した後一度断絶し、アメリカから再輸入したという流れだ。歴史についても調べるほど面白いことが出てきたので、機会があれば掘り下げた記事を書きたい。 (参考:麻雀の歴史http://www.cc.seikei.ac.jp/~ue153455/history.html)
中国の麻雀
では、本家本元の中国麻雀のルールについて調べてみよう。なんと、中国政府認定の国際公式ルールが存在するようだ。もはや国技のようなものである。日本のルールと明らかに違う点は、
・8点縛り
・リーチなし
・フリテンなし
・ドラなし
・ツモ上がりなら全員から上がり点+8点、ロンアガリなら放銃者から上がり点+8点、他二人から8点
......等があげられる。
中国麻雀では一翻二翻......という数え方はせず、役によって決められた「点」を加算して手の点数を決める。役の点数は1、2、4、6、8、......、64、88点までの12種類あり、役自体は81個存在する。例を挙げてみよう。
役が日本麻雀のそれ(40個程度)と比べるとかなり多く、覚えるだけでも一苦労である。自分の好きな役は1点の缺一門(ツェーイーメン)、普段使う言葉がそのまま役になっている。ちなみに、裸単騎は全求人(ツェンツーレン)という6点役となっている。
また、点数の収受については述べた通り、ロンアガリでも脇から点をもらえる規定となっている。他家が振り込んだからといっても対岸の火事ではないのだ。
簡単にルールを説明したが、膨大な数の役さえ覚えることができれば、もしくは参照しながらであれば、意外と打てるようになりそうである。
以上述べたルールに関しては、日本麻将体育協会の石橋大助さんが作成した手引きが非常にわかりやすい。(https://drive.google.com/file/d/0B5k5MhJn7H58VFBSLXByUEtnTWc/view)
台湾の麻雀
おとなりの台湾の麻雀も見てみよう。日本のルールと異なる点は、
・手牌は16枚の5面子1雀頭
・リーチ、ドラなし(リーチはローカル役扱い)
・海底牌を取らない権利あり
・フリテンなし、牌は適当に置く
・0台縛り、つまり役が無くても上がれる(点でなく台が単位)
......などである。
なんと台湾麻雀では、役が無くとも上がれるのである。点数計算だが、
(基本底+役の台数+親台)×倍率
で計算される。「基本底」は上がるともらえる基本の点数。「親台」とは親の連荘時に適用され、n連荘の時、(2n+1)台と計算される。また、底や倍率はゲーム開始時に任意に設定される。
それに加え、ツモ時はその点数を3人からもらえる。つまりロン10台のところをツモで30台もらえるのだ。どことなく東天紅を彷彿とさせる。
そして上の式を見るとわかるが、役の台数が0でも全体として台数は発生する。これに加え1台縛りのようなものがないため、役がなくとも和了形になれば上がることができる。
また、手牌が16枚というのも面白い。日本にもある四暗刻という役が、台湾では5台役として同様に存在し、両面待ちが可能となっている。
台湾麻雀独特の役としては、親の時加算される「莊家」(1台)、門前で上がった時の門清(1台)、7対子1刻子のリクリク (4台)などがある。やはり台湾麻雀が東天紅の祖では?(東天紅ルール)
(参考、https://mj-news.net/column/2016052041985、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E9%BA%BB%E9%9B%80)
アメリカの麻雀
さてここまではアジアの麻雀を紹介してきた。最後に現代アメリカの麻雀について調べてみよう。日本や中国、台湾のルールとはかなり異なる。
・オールマイティ―の「JOKER牌」が存在する
・役は毎年変わる
・面子は2もしくは3枚から成るとは決まっておらず、1~6枚が1面子になりうる、つまり4面子1雀頭を目指すわけではない。
・「チャールストン」という他家との牌交換が行われる
......などが大きく異なるルールだ。どこから突っ込めばいいかわからないが、「上がりを目指す」以外はほぼアジア系のルールと異なっている。
オールマイティー牌の存在は理解できる。ただ8枚もあるというのは多すぎるような気が......。アメリカという国は大味なゲームを好むのだと再認識させられる。
さらに、役は毎年変わる。National Mah Jongg League、略称NMJLが公式ルールを定めているのだが、ここが毎年ルールブックを更新するのだ。わかりやすいところでいえば、その年の年号は役になる。何のことかといえば、「2019年」ならば「2,0,1,9」の牌を使えばその役になるのだ。0は白である。
そして他家との牌交換である「チャールストン」の存在。主な流れは下に示すように、
- 不要な3枚を下家に渡し、上家から3枚もらう。
- 不要な3枚を対面に渡し、対面から3枚もらう。
- 不要な3枚を上家に渡し、下家から3枚もらう。
以上を1セットとし、最大2回まで行われる。そしてこの動作が終了し次第、通常のツモ、捨て牌の流れになる。
ちょっと面白かったのが和了時の発声で、"Mah Jongg!"である。ポーカーで勝つたびに"Poker!"と叫ぶようなものである。
チャールストンルールなどは1920年くらいからすでにあったようで、意外にもアメリカで息の長いボードゲームである。しかしながら、かなりルールが日本のそれとは異なる。本当に進駐軍麻雀が現代日本麻雀の祖か......?
(参考:https://majyan-item.com/post-664/、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E9%BA%BB%E9%9B%80)
総評
何やらわからん外国の麻雀だったが、ルールを見ると今でも意外と打てそうである。個人的にやってみたいのはアメリカ麻雀である。なにせ、どんなゲーム展開になるのかさっぱり分からない。(あと"Mah Jongg!"って言ってみたい)
台湾麻雀や中国麻雀に関しては、実際に打てるサイトも見つかった。
日本式の麻雀だけでなく、他国の麻雀を打つこともいい刺激になるだろう。機会があれば実際に牌を握ってプレイしてみたいものだ。